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アドテクニカ・BCPニュースレター 【新型コロナウィルスによる「感染症BCP」について】

アドテクニカ・BCPニュースレター 【新型コロナウィルスによる「感染症BCP」について】

2020/12/10

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BCP

新型コロナウィルスによる感染症によって世界中が深刻な状態になっています。
この「感染症BCP」の課題についてお話ししようと思います。

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感染症の歴史

感染症は、毎年発生する季節性インフルエンザのように昔からあります。
日本では、毎年、人口の10%近く1千万人ほどの方が季節性インフルエンザに感染しています。それによって高齢者や体力の弱い方が重症化して1000人前後の方が亡くなっています。

しかし、数十年おきに、免疫のきかない新型のウィルスが現れ、それによって世界中に大流行を発生させます。今回のコロナウィルスも免疫力の効かない新型のコロナウィルスに変容しています。そのため、伝搬力は強く、あっという間に世界的な大流行となりました。
その怖さの要因は、免疫力の基となる抗体が見つからないために、ワクチンのような治療薬がないことです。幸いこのウィルスの毒性は弱いために、感染者の致死率は低いようです。しかし、致死率は低くても、高齢者や基礎疾患を持つ病弱の方々の死亡が発生しています。その危険性を食い止めるために世界中が対策を講じているところです。

「温故知新」(古きを尋ねて新しきを知る)という言葉があるように、人類とウィルスとの戦いの歴史を訪ねることは、これからの新型コロナウィルスとどのような闘いをしたらよいかのBCP的教訓が見つかると思います。(注)
ここでは、20世紀に入ってから大流行した、3回の感染症について概観します。

一つ目は、1918年のスペイン風邪の大流行です。世界で4,000万人の人が亡くなりました。日本でも39万人の方が亡くなっています。

二つ目は、1957年のアジア風邪の大流行では200万人以上の方が亡くなりました。

三つ目は、1968年の香港風邪の大流行です。100万人以上の方が亡くなりました。

感染症BCPにおける企業の守るべき経営資源「ヒト」

新型コロナウィルスの感染拡大はパンデミックにまで拡大し、世界の感染者は5月16日現在で450万人、死者は30万人を超えてしまいました。
その後、第2波、第3波による感染拡大が発生し、その終息は見えていません。
今回の新型コロナウィルスによるパンデミックは、以前と比べその経済的打撃は計り知れないほど大きくなっています。前世紀後半から始まった経済のグローバリズムによる世界のビジネスマンや旅行客の往来がその被害を大きくした原因の一つです。

これによって、企業の命が断たれる事態(事業継続不能による倒産・廃業)が、これからどのくらい発生するか心配です。
既に大企業の倒産も出ています。日本の企業数360万者の中の85%が小規模企業(脚注参照)です。これらの小規模企業が、地域経済を支え大企業のサプライチェーンの一端を担っています。小規模企業の経営基盤は脆弱で、経済的に大きな影響を受けます。
コロナ禍から小規模企業の守るべき経営資源の順位は、一位「ヒト」と二位「カネ」です。
「ヒト」対策は「感染症にうつらない・うつさない」を基本方針として、その具体的行動基準は「三密回避」です。ただし自粛要請中にも重要業務を稼働させておくためには、可能な限り社内連絡は密にとりつつ継続しておくことが重要です。

社員間の連絡やコミュニケーションには、当社の安否コールも有効な手段となります。
社員への掲示板機能の使用により、迅速な社内連絡や情報提供、階層別連絡や社員アンケート収集などに活用できます。「ヒト」対策は、感染症から身体的に従業員を守るだけでなく、精神的なつながりによるストレス軽減にも有効です。
この様な新型コロナウィルスによる心身への影響を軽減するためにも、安否コールの有効活用を考えてみてはいかがでしょうか?
下記リンクにその活用事例が紹介されていますのでご活用ください。

新型コロナウイルス対策!! 企業の安否確認サービス活用法

注)小規模企業とは、製造業、建設業、運輸業等の業種で従業員20人以下、その他の業種(サービス、小売り卸売業)で5人以下の事業者と定義されています。

感染症BCPにおける企業の守るべき経営資源「カネ」

企業経営にとって「ヒト」対策の次に重要な対策は「カネ」対策です。
4月7日に7都道府県に出された緊急事態宣言は、4月16日に全国に拡大され、国内の経済活動は緊急停止状態に陥ってしまいました。「ステイホーム」や「巣ごもり」という言葉が聞かれるようになり、特定定額給付金(国民一人当たり一律10万円給付)が発表になりました。

経済産業省や厚生労働省からも企業の雇用維持のため(倒産や解雇による失業者を出さないため)の各種給付金や補助金、利子補給、税金免除、公共料金免除・・・など矢継ぎ早に支援策が打ち出されました。

中小・小規模企業にとって緊急避難的に必要だった資金は、持続化給付金でした。1月以降の月単位の売上高が対前年比50%以上減少した事業者に対し、個人事業者は100万円、法人事業社は200万円の給付金が5月1日から支給されました。

電子申請を原則とした申請受付であり、電子申請ができない中小・小規模企業事業者は、税理士・会計士に依頼して受給しましたが、それができない事業者も多くいると聞いています。家賃・地代に苦しむ中小・小規模企業には、家賃支援給付金が7月14日から支給されることになりましたが、この申請も原則WEB申請となっており、事業者自身での申請は難しくなっています。

日本の行政申請のデジタル化の遅れ

先進国では、WEB申請でスムーズに給付金が国民に届いていると報道されています。
この要因の一つは、日本の行政申請のデジタル化の遅れにあると言っても過言ではないと思います。

今回のコロナ禍の拡大により浮き彫りとなった課題・リスク・取組の遅れとして、世界の先進国の中で日本のデジタル化、オンライン化の遅れ(特に行政分野)が指摘されました。本年度の骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針2020)の中で「『新たな日常』構築の原動力となるデジタル化への集中投資・実装とその環境整備」が謳われており期待するところです。
この面で、企業経営者の皆さんも今後のデジタル化の進歩に遅れないように本ブログ等を活用していただければと思っております。

感染症に対抗する武器

経済を回していくには人の移動が必要であり、そのために各種のGOTOキャンペーンが実施されています。しかし、案の定、その活動が広がるにつれ、クラスターが発生するという悪循環が発生しているようです。

今回の新型コロナウィルスの特徴は、弱毒性ではあるが感染力が強いため、新型コロナウィルスの保菌者であっても症状の出ない感染者が出ています。そのため、知らない間に新たな感染者を増やしている結果になり、クラスターが発生するという厄介な状態になっています。

この状態を断ち切るには、一人一人が「うつらない・うつさない・拡散させない」の方針のもと、三密回避行動をとることです。
最近はさらに2つの「短小」対策の行動が求められています。
「短」とは、短時間の意味で、「人との会話は短時間で済まそう」ということであり、「小」とは「小さい声で話そう」という意味です。両方とも飛沫感染防止のための行動です。感染防止のために一人一人が注意すべき行動で、特に、飲食を伴った会合でのマナーとして重要な対策だと思います。

人間の細胞は6~25ミクロン程度(ミクロンは1mmの千分の1)とのことですが、それより小さいわずか0.1ミクロンという電子顕微鏡で見なければわからないような小さな新型コロナウィルスが、一人の人間が60兆個の細胞を持つと言われる人間と戦っているわけです。
そして新型コロナウィルスは、津波のように流行期を繰り返し人間に襲ってきます。まるで、高等宇宙人のように人間を翻弄しています。科学の力でワクチン開発が進んでいますが、ウィルスに打ち勝っても人間に安全でなければならないといワクチン開発の難しさがあり、それを実証するために時間が掛かっています。
頭脳を持たないウィルスが人間を攻撃する目的は何でしょうか?
すべての生物と同じで「生き残ること」、そのためには仲間を増やすことと言われています。宿主がいなければ生きていけない単純な生物に対抗するには、「三密回避」と「短小対策」が今のところ最善の武器と言えるでしょう。すべての方がワクチンによってこの単細胞ウィルスに打ち勝つ日までこの2つの武器で戦いましょう。

<<筆者のご紹介>>

IST経営コンサルティング
石井 洋之

静岡県BCPコンサルティング協同組合 理事
静岡県立大学客員共同研究員・静岡大学講師
中小企業診断士
博士(学術)