【令和3年版】BCP補助金・助成金について解説
2021/10/27.

BCPを実効性のあるものにするには設備の導入などハード対策が不可欠です。
しかし、資本力や経済力に余裕のない中小企業にとっては負担が大きく、いつ起きるかわからない災害への対策は優先度を上げづらいものでしょう。
このとき注目したいのが、補助金や助成金の活用です。
本記事では、東京都が中小企業向けに行っている「BCP実践促進助成金」をはじめ、自治体が実施している制度をいくつか紹介します。
index
BCP実践促進助成金

画像引用:東京都中小企業振興公社
東京都が進める助成金制度の「BCP実践促進助成金」2021年度版をみていきましょう。
令和3年のBCP実践促進助成金とは
BCP実践促進助成金は、東京都が実施する助成金の制度です。
都内の中小企業などが策定したBCPを実践する際に、導入する備品・物品の購入や設置にかかる費用を対象として助成金を受けることができます。
2021(令和3)年度は、5月、7月、9月の募集が終了し、今後は11月と2022年1月に予定されています。
助成対象者
助成金の対象者となるのは、すでにBCPを策定した都内の中小企業です。
中小企業には、中小企業団体や個人事業主、小規模企業者も含みます。
ただし、都内で1年以上実質的に事業活動を行っている必要があります。
本社が東京都にあれば、関東6県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県)および山梨県にある事業所に対するものであっても対象です。
なお対象となるBCPは、次のいずれかを満たす必要があります。
- 2017年度以降に公益財団法人東京都中小企業振興公社(以降「公社」という)の実施する「BCP策定支援講座(ステージ1)」を受講し、受講内容を踏まえて策定したBCP。
- 2019年度に施行された中小企業等経営強化法に基づく「事業継続力強化計画」の認定を受け、その内容に基づいて作成したBCP。
- 2016年度以前の東京都または公社が実施したBCP策定支援事業等の活用により策定したBCP。
助成対象経費
助成される経費は10万円から1,500万円までが対象です。
この金額には、BCP実践促進と基幹システムのクラウド化の助成の上限450万円も含みます。
助成率は中小企業で対象経費の2分の1(経費の最低額は20万円)、小規模企業者で助成率3分の2(経費の最低額は15万円)です。
ただし感染症対策を含む場合は5分の4まで引き上げられます。
助成対象となる経費は「策定されたBCPを実践するために必要な設備・物品の購入、設置に係る費用」であることが条件で、下記に挙げるものが対象です。
また、20品目が上限となります。
緊急時の稼働用 |
自家発電装置、蓄電池、安否確認システム |
情報処理対策 |
データサーバー、データバックアップ、BCP補完のためのシステム |
耐震対策 |
制震・免震・転倒防止装置、所有建物の耐震診断(工事は対象外) |
浸水対策 |
土嚢、止水板などの購入・設置 |
従業員対策 |
非常食、簡易トイレ、毛布、浄水器などの備蓄品 |
感染症対策 |
マスク、消毒液など |
助成対象外経費
緊急事態における事業継続のためであることが主目的となるため、日々の事業への汎用性の高い費用は助成対象とはなりません。
その他、工事やコンサルティングなどの業務委託費用、保守費用、消耗品なども対象外です(感染症対策に要するマスク、消毒液等は対象です)。
申請の流れ
申請書は公社ホームページからダウンロードして作成します。
受付の際は、電話による事前予約を行い、対面にて行います。(郵送による受付はありません)。
具体的な申請の流れは以下のとおりです。
- BCP策定:都の指定に則り、BCPを策定。
- 助成金申請:公社に申請を実施。
- 審査会、交付決定:公社にて審査、必要に応じ現地調査、助成金交付の可否を通知。
- 事業実施:審査内容の範囲でBCPを実施。
- 完了報告:BCP完了を公社に報告。
- 完了検査、助成金額の確定:公社にてBCPの確認と最終的な助成額を算出。
- 助成金額を請求:確定された助成金を請求。
- 助成額の支払い:公社から助成金を支払い。
審査は、申請資格、経営面、BCPの内容の妥当性、設備導入の必要性・妥当性の4つの観点から行われます。
助成事業完了年度の終了後5年間は利用状況などについての報告を提出する必要があります。
詳細については、東京都中小企業振興公社の申請案内ページを参照してください。
なお緊急事態が発生した際の迅速かつ適切な対処には、安否システムの導入が不可欠です。
こちらの補助金では、「安否確認システム」も助成の対象となっているため、この機会に導入してみてはいかがでしょうか?
当社安否確認システム「安否確認コール」は、東日本大震災でも稼働の実績があり安定性と信頼から1,200社を超える多くの企業からお選びいただいています。
詳細につきましては、以下ページをご参考ください。
各地方自治体によるBCPの補助金・助成金
その他の地方公共団体の補助金・助成金をみていきましょう。
東京都江戸川区「BCPの策定にかかる助成金」
BCPの策定にかかる経費を助成する制度です。
名称 |
事業継続計画(BCP)の策定にかかる助成金 |
助成対象者 |
江戸川区内に本社を有する中小企業者 |
助成額 |
20万円を上限 |
助成率 |
対象経費の3分の2以内 |
助成対象経費 |
コンサルタントによる指導費用 内部研修の実施にかかる講師派遣等の費用 外部研修の参加費用 ※間接経費(消費税、振込手数料、運送料、交通費、通信費、光熱費等)は対象外 |
その他留意事項 |
利用回数は同一年度内1回 助成金の申請を行った年度内に策定できる計画が対象 策定前に、助成金の申請書を提出し、交付決定を受ける必要 |
問い合わせ先 |
江戸川区産業経済部産業経済課 |
静岡県静岡市「BCP策定・コロナウイルス感染症の感染防止対策に関する助成」
新型コロナウイルス感染症に対応した事業継続計画もしくは事業継続力強化計画に基づき、感染防止対策設備の設置や店舗の改修を行う事業者に対して補助金を交付する制度です。
名称 |
BCP策定・コロナウイルス感染症の感染防止対策に関する助成 |
助成対象者 |
静岡市内に事業所を有する中小企業および小規模企業者 みなし大企業も対象 |
助成額 |
100万円を上限 |
助成率 |
2分の1 小規模企業者に該当する場合は3分の2 |
助成対象経費 |
新型コロナウイルス感染症に対応したBCP等に基づいて行う、新型コロナウイルス感染症感染防止対策に伴い発生する費用 ・BCP等の策定、改定、意見徴収など専門家の活用により発生する報償費等 ・BCP等に基づく新型コロナウイルス感染症感染防止対策経費 (専門家活用、消毒用設備設置、飛沫感染対策、換気設備設置等) |
その他留意事項 |
実績報告が必要 |
問い合わせ先 |
静岡市産業振興課工業振興係 |
参照:BCP策定・コロナウイルス感染症の感染防止対策に関する助成│静岡県静岡市
静岡県富士市「中小企業等BCP策定等支援補助金」
感染症対策を含めたBCP策定・改定のほか、社内啓発等を支援する補助制度です。
名称 |
富士市中小企業等BCP策定等支援補助金 |
補助金対象者 |
市内に主たる事業所または事務所がある中小企業者等 |
補助金の上限 |
10万円 |
補助率 |
全額 |
対象経費 |
・BCP策定の啓発を目的としたセミナー、勉強会等の事業 ・専門家を招へいし、BCP策定の指導及び助言を受ける事業 ・感染症対策を含めたBCPの策定又は改定する事業 上記の補助対象事業の実施に要する経費のうち、講師謝金、講師旅費、印刷製本費、委託料、会場等の使用料 など |
その他留意事項 |
1事務所1回まで |
問い合わせ先 |
富士市産業政策課 |
新潟県長岡市「BCP・事業継承補助金」
BCPや策定経費の一部を補助し、事業継続力強化を促進する制度です。
名称 |
BCP・事業継承補助金(BCP型) |
補助金対象者 |
市内に主たる事業所を有し、後逸事業を1年以上営む中小企業者 |
補助金の上限 |
10万円 |
補助率 |
3分の2 |
対象経費 |
税理士や金融機関等の支援機関への業務委託料等 BCP等策定に関する研修の受講料、研修時の講師謝金 など |
その他留意事項 |
実績報告時に策定したBCPを提出する |
問い合わせ先 |
長岡市産業支援課 |
兵庫県「BCP策定支援事業補助金」
BCP策定セミナーの開催に取り組む県内商工会議所、県商工会連合会に対する支援を行うとともに、BCPの策定に取り組む県内の事業所を支援する制度です。
BCP策定済みの県内の事業所に対しては、BCPの実効性を高めていくための取組に対して支援します。
BCP策定セミナー開催補助
補助金対象者 |
県内の商工会議所、兵庫県商工会連合会 各商工会(青年部及び女性部含む)や各地区商工会連絡協議会が行う事業については兵庫県商工会連合会がとりまとめて実施 |
補助金上限 |
商工会議所:1件あたり30万円 (神戸及び姫路の商工会議所は50万円) 兵庫県商工会連合会:210万円 |
助成対象経費 |
県内の事業所等を対象に行うBCP策定に係るセミナーの開催にかかる講師謝金、旅費、印刷製本費、広報費、書籍購入費、消耗品費、使用料等 |
BCP策定補助
補助金対象者 |
県内に所在する事業所 事業実施年度内にBCPを策定すること すでにBCPを策定している場合であっても、帰宅抑制または感染症対策に係る規定を追加して見直しを図る場合は補助の対象 |
補助金上限 |
1事業所あたり5万円 |
助成対象経費 |
講師謝金、講師旅費、研修費、印刷製本費、書籍購入費、消耗品費、委託料等 |
BCP推進補助
補助金対象者 |
県内に所在するBCP策定済みの事業所 |
補助金上限 |
1事業所あたり5万円 |
助成対象経費 |
従業員に策定したBCPの理解を促す研修やBCPに基づく訓練の実施 講師謝金、講師旅費、研修費、印刷製本費、書籍購入費、消耗品費(非常食等)、委託料等 非常食等の研修・訓練資材については、当日に使用する分のみ対象(備蓄分は対象外) |
その他BCPにまつわる補助金

画像引用:IT導入補助金2021
その他、BCPの実効性を高めるための事前対策に応用できるものに、経済産業省の進めるIT技術を活用したテレワーク導入の補助金(IT導入補助金)があります。
IT導入補助金 低感染リスク型ビジネス枠(特別枠:C・D類型)は、テレワーク導入や業務改善の費用について支援するもので、補助率が通常枠の2分の1より拡大し、最大で3分の2、上限を450万円まで補助します。
低感染リスク型ビジネス枠(特別枠)は、非対面化のツールを導入することが必須となります。
複数プロセスの非対面化や業務のさらなる効率化を目的とした事業が対象です。
D類型の場合はクラウド対応になっていることも条件となります。
PCやタブレットなどのハードウェアのレンタル費用も対象です。
類型 |
C類型 |
D類型 |
補助金額 |
30万円~450万円以下 |
30万円~150万円以下 |
補助率 |
3分の2以内 |
3分の2以内 |
補助対象経費 |
ソフトウェア購入費用 導入するソフトウェアの利用に必要不可欠なハードウェアのレンタル費用と関連するオプション・役務の費用 |
|
導入ツール要件 |
プロセス要件を満たし、労働生産性の向上に資するITツールであること 複数のプロセス間で情報連携し、非対面化や業務のさらなる効率化を可能とするITツール |
C類型の要件に加え、テレワーク環境の整備に資するクラウド環境に対応し、複数プロセスの非対面化を可能とするITツールであること |
参照:IT導入補助金2021
BCPにまつわる補助金・助成金まとめ
BCP関連の補助金や助成金は、毎年予算を組んでいるもの少なくありません。
現在は受付を終了しているものでも、次年度以降にあらためて募集される可能性があります。
補助金や助成金にまつわる情報は、都道府県や市区町村の産業支援関係のホームページに掲載されるので、定期的にチェックし、該当するものがあれば活用していきましょう。
なお緊急事態が発生した際の迅速かつ適切な対処には、安否システムの導入が効果的です。
今回ご紹介した補助金や助成金を使って、この機会に導入を検討してみてはいかがでしょうか?
当社安否確認システム「安否確認コール」は、東日本大震災でも稼働の実績があり安定性と信頼から1,200社を超える多くの企業からお選びいただいています。
また簡単操作で緊急時も使いやすいのも選ばれるポイント。
導入事例や詳細などは、以下ページをご参考ください。

「世界中のコミュニケーションをクラウドで最適に」することをミッションとして掲げ、2000社以上の法人向けのデジタルコミュニケーションとデジタルマーケティング領域のクラウドサービスの開発提供を行う防災先進県静岡の企業。1977年創業後、インターネット黎明期の1998年にドメイン取得し中堅大手企業向けにインターネットビジネスを拡大。”人と人とのコミュニケーションをデザインする”ためのテクノロジーを通じて、安心安全で快適な『心地良い』ソリューションを提供している。
- 事業内容
- デジタルマーケティング支援
デジタルコミュニケーションプラットフォーム開発提供 - 認定資格
- ISMS ISO/IEC27001 JISQ27001認定事業者(認定番号IA165279)
プライバシーマーク JISQ15001取得事業者(登録番号10824463(02))
ASP・SaaSの安全・信頼性に係る情報開示認定事業者(認定番号0239-2004)