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災害時におけるBCP(事業継続計画)とは? 災害対策・防災計画との違いを解説

災害時におけるBCP(事業継続計画)とは? 災害対策・防災計画との違いを解説

2021/02/25.

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災害時におけるBCP(事業継続計画)とは? 災害対策・防災計画との違いを解説

災害時のBCP(事業継続計画)を策定する際、どこから手を付けてよいのか、防災と何が違うのかと悩む担当者も少なくありません。

ここではBCPを策定する目的や災害対策・防災計画との違いなど、BCP策定の基本ポイントを解説します。

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災害時におけるBCP

BCPは、大規模地震や大型台風による長期停電など、大きな災害が発生するたびに注目度が高まる重要な経営戦略のひとつです。

はじめに、BCPとは何か、計画策定の目的や具体的な策定方法、策定時のポイントについて解説します。

BCPとは?

何のために策定するのか、どのような手順で策定するのか、気をつけるべき点はどこかなど、BCPの大きなポイントを把握しておきましょう。

BCPは緊急事態での事業継続のための計画

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は、大規模な災害により従業員や施設、サプライチェーンが被災するなどの緊急事態に対応するため、予めリスクを想定して備える計画です。

東日本大震災では、大きな揺れや津波により企業の多くが被災し、従業員を亡くしたり建物・設備が機能を失ったりしてサービスが停止しました。

自社の被災が少ない場合でも、サプライチェーンの被災や長期にわたる停電などで事業が停止して顧客が離れ、従業員の解雇など規模の縮小に追い込まれたケースもあります。

BCPは、このような緊急事態が発生したときに、事業の継続を最優先に考えた方針や対処方法を定めた計画です。

最悪の事態を想定したBCPを導入することにより、どんなリスクでも的確な判断で全体最適の行動をとることができます。

BCPの策定方法

BCPはおおまかに次の7つのステップで検討するとよいでしょう。

<BCPの策定方法 7つのステップ>

①事業継続の基本方針 自社が最も大切にする事業の方針を明確にします。
②リスクの想定、事業影響度の分析 地震、風水害、感染症など、リスクごとに事業へどのような影響があるかを分析します
③重要業務と目標復旧時間の特定 事業を継続させるために最優先させる業務と、業務が止まったときに再開させる目標時間を決定します。
④事業継続のための代替策、事前対策の検討 拠点や電力、通信機能、データシステムなどが停止したときの代替方法を決め、事前対策を検討します。
⑤BCP体制、BCP発動基準の検討 BCPを発動するタイミングや社員の参集、緊急時の指揮命令系統、トップが被災したときの代行順位などを検討します。
⑥BCP発動時の行動手順の検討 被災状況などの情報収集体制や判断・指示の方法、代替方法への切り替え手順、応急復旧、広報などの対応を検討します。
⑦計画の見直し・改善、訓練や研修 検討内容を文書にして従業員に配布し、研修などで周知を徹底させるとともに、定期的に訓練して内容の見直しを行います。

効果的なBCP策定のためのポイント

BCPを策定する際には、特に次の5つの点に注意しましょう。

① 経営戦略としてBCPを検討する:BCPは、自社が最も大切にする中核事業を絞る必要があるため、経営層が決定し、トップダウンで取り組むことが重要と心得ましょう。

② 取引先も意識する:全体最適の考え方で現実的な優先度や復旧目標などを定めるため、取引先との協議や合同の訓練などでの連携が重要です。

③ 理解しやすく行動しやすい計画にする:最悪を想定した被害の中で動く必要がありますから、現場が混乱しないよう簡潔で具体的な行動内容を決めておく必要があります。

④ 代替対策を用意する:拠点やライフライン、従業員やサプライヤーの被災など、復旧方法だけでなく復旧までの代替方法を決めておくことも重要です。

⑤ 研修などでの周知や訓練による検証:日頃からBCPを周知し、BCP訓練を実施して意識向上や対応の習熟を図ります。

災害を想定したBCPの策定

BCP策定の際に想定する災害としては、具体的には地震や津波、風水害、火災、感染症など、自社に対し最も影響の大きいものを特定します。

例えば、次の5つのポイントについて、災害に応じた内容を検討するとよいでしょう。

BCP発動・参集基準:震度や気象情報など、どの災害規模でBCPを開始するか

トップ不在時の権限代行順位:指示を出すトップがいない場合の指揮系統をどうするか

代替の確保:拠点やライフライン、通信、データなどが被災したとき代替をどうするか

水、食料などの備蓄:災害対応にあたる従業員を守るための備蓄をどうするか

時系列での優先業務の整理:いつ、誰が、何の対応を、どんな方法で行うのか

BCPと災害対策・防災の違い

BCP(事業継続計画)と混同しがちなのが、災害対策マニュアルや防災計画です。

すでに防災の取り組みを進めている企業も多いでしょうから、従来行っている防災対策とどこが違うのかを把握し、的確にBCPを策定できるようになりましょう。

BCPと防災では、目的や対象が異なる

BCPは事業継続を目的とするため、対象となるリスクは災害だけでなくテロや事故、サイバー攻撃なども含まれます。

自社が被災した最悪の事態を想定して対応の優先順位を決めておくものですから、別の見方をすれば「やらない業務・重要でない業務」を選別しているともいえます。

防災計画は、災害を未然に防ぐ方法や、実際に災害が起きた場合の行動など、企業としての災害対策全体を整理したもので、対象となるのは主に自然災害です。

災害対策の理念をまとめたものですから、自社が被災する想定は入っておらず、対応に優先順位もつけません。

災害時のBCPと防災は内容に重複する点も多くありますが、大規模な災害の場合、企業の存続のために防災だけでなくBCPが必要になるといえます。

防災とBCPの具体的な違いは内閣府の『事業継続ガイドライン第三版』P5を参考にしてください。

<外部リンク参考:事業継続ガイドライン第三版|内閣府

災害対策・防災の特徴もおさえよう

防災とBCPとの違いをわかりやすくするため、災害対策マニュアルや防災計画の目的や特徴をもう少し詳しく解説しておきます。

防災計画とは

防災は、いのちと財産を守るため、あらかじめ災害による被害を防ぎ、災害発生時には被災からの復旧を図るための取り組み全体を指し、災害対策基本法がベースとなっています。

災害の対象は、地震・津波、風水害、雪害、火災など、自然災害が中心となることが多く、それぞれに被害想定と対策を整理するのが一般的です。

防災計画では、次の3つの計画を定めます。

事前対策計画:耐震対策や設備強化、備蓄など、被害を減らすために平常時に行う対策を定めたもの。

応急対策計画:災害発生直後(風水害の場合は直前も含む)の行動を定めたもので、応急対策マニュアルと呼ばれることもある。

復旧計画:被災した場合の復旧体制や方法などを取り決めたもの。

防災計画の策定方法

防災計画を策定する際は、次のような手順で行うと効果的です。

①計画策定方針の決定 計画策定の主体となるチームや決定者、計画の対象とするメンバーの範囲などを決めます。
②被害想定 自然災害を特定し、地理的状況も踏まえて災害の特徴を整理し、災害に対する脆弱性を「見える化」します。
③対策や活動の検討 災害を未然に防ぐために必要な事前の対策を検討し、災害が発生した場合の実施体制や初動対応(安否確認、避難、状況把握、応急措置など)を検討します。
④訓練の実施 計画内容をもとに訓練を行い、実際に動けるかをチェックします。
⑤計画の見直し・改善 訓練でのチェック内容をふりかえり、計画の見直しを行います。

 

防災計画の組み立て方は、所在地の市町村が策定している地域防災計画や住民向けの地区防災計画の手引きなどを参考にすると良いでしょう。

まずはBCP・防災の両方を兼ねる計画策定を

BCPと防災はそれぞれに目的が異なりますから、理想としては両方策定したいところですが、どちらも未策定の場合は、BCPと防災の両方を兼ねた災害BCPの策定をおすすめします。

被害が甚大になりやすい地震・津波や大型台風、新型ウイルスの感染症など、自社にとって最も影響が大きい災害をひとつ想定してBCPを策定し、少しずつリスクを広げていくと現実的な検討ができます。

業務選定の最適化が進み、具体的な対策が整理されてきた段階でBCPと防災計画を切り離して展開する流れだと、社内での理解も得られやすいはずです。

 最初から完璧な計画を立てようとしたらいつまでも完成しません。

災害はいつ起きるかわかりませんから、まずは想定しやすい範囲、対策がたてやすい範囲で策定を進めていくようにしましょう。

まとめ

BCPはどんな重大なリスクが起きても事業を止めないため、事業継続の方針と対策の優先度を決めておく計画です。

一般的には、発生の予測がつかない地震など、自社にとって最も懸念される災害リスクをひとつ想定し、BCP発動の条件や具体的な対策を検討します。

BCPの意味や策定の目的を確認しつつ、自社にとって何が最も重要なのかをよく見極めることがポイントです。

具体的な災害リスクを想定して自社への影響を正しく分析し、業務継続の方針や優先する対策の判断をしっかり行って策定していきましょう。

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