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BCMとは? BCPとの違いや実施のメリットを事例で解説

BCMとは? BCPとの違いや実施のメリットを事例で解説

2021/10/27.

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BCMとは? BCPとの違いや実施のメリットを事例で解説

BCPとBCMはどちらも事業継続において重要な活動ですが、混同されることも少なくありません。

本記事では、BCMとBCPの違いを紹介した上で、BCMの重要性、策定の方法、策定した場合の効果について、具体的な事例とともに解説していきます。

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BCM・BCPそれぞれの意味と違い

はじめに、BCMとBCP、それぞれの言葉の意味を、両者の違いにも着目しながら理解していきましょう。

 

BCMは「事業継続マネジメント」

BCM(Business Continuity Management)は、日本語に訳すと「事業継続マネジメント」となります。大規模な災害や事故、テロなどの緊急事態時に、被害を最小限に抑え、自社の事業が中断しないようにしたり、仮に中断したときでもできるだけ早く復旧したりするようにすることがBCMの目的です。 

BCMでは次の一連の対策を講じるマネジメントを総合的に行います。

  • 被害を抑止あるいは軽減するための事前対策
  • 緊急事態が発生した際の対処行動や復旧対応マニュアルなど事後対策
  • 組織内に対策が浸透するよう意識啓発の研修や行動を検証する訓練など

 

BCPは「事業継続計画」

BCP(Business Continuity Plan)は、日本語に訳すと「事業継続計画」となります。

BCMが事業継続のためのマネジメント全般の運用を示しているのに対し、BCPは事業継続を実現するための具体的な対策計画を指します。

BCPに記載するのは主に次のような内容です。

  • BCPの基本方針(目的、事業継続方針、守るべき重要事業、運用方針など)
  • 事業継続を脅かす重大なリスクと被害想定
  • 事前対策(インフラ、拠点、人的資源、物的資源、情報連絡系統、資金確保など)
  • 緊急事態時の体制(責任者、権限移譲と代行順位、機能と役割など)
  • 緊急事態発生時の行動手順(BCP発動、初動マニュアル、復旧マニュアルなど)

 

【徹底解説!】BCP(事業継続計画)入門編

BCM・BCPはなぜ重要?

BCMやBCPは、災害対策の中でも、事業の継続、機能の維持に主眼置いたものです。

 

現在のビジネスは、分業や外注委託が進み、単独で成り立つものが少なくなっています。

そのため、ある事業が突然中断すると、その先にある多くの事業に影響を及ぼします。

新潟県中越沖地震の際には、自動車エンジンのピストンの部品を製造する企業が被災した影響で、国内の自動車メーカーすべての生産がストップしてしまいました。

 

このような教訓を踏まえ、大手企業などでは、自社がBCPを策定するだけでなく、取引先に対してもBCPの策定や、実効性を高める運用を明示したBCMを要求するところも多くなっています。

BCM・BCPは、企業としての信用・取引の際のブランドとして必要不可欠なものとなっているのです。

 

災害時におけるBCP(事業継続計画)とは? 災害対策・防災計画との違いを解説

 

BCM・BCP策定の手順

実際にBCMやBCPをどのように策定するのかをみていきましょう。

BCMとBCPはそれぞれを文書にしていくことが多いのですが、計画と運用という連動した側面をもつため、ここでは一連の流れとして解説します。

 

まずはBCMの基本方針を策定

はじめに、事業継続の目的と目標などの基本方針と運用方針を定めます。

基本方針には、組織として中核となる事業を決定し、事業継続の目的や、緊急事態発生時に維持すべきあるいは中断しても復旧すべき目標を決めます。

組織によって事業内容が異なることから、継続させたい事業も組織によって違うでしょう。

顧客や取引先、株主、従業員など、あらゆるステークホルダーとの利害関係を考慮し、自社として守るべき事業を絞ります。

こうして策定したBCPが「絵に描いた餅」にならないよう、実効性を高める取り組みをBCMの基本方針として定めます。

具体的には、BCPの浸透や意識啓発、教育・研修や訓練、BCPの検証・見直しの実行などの運用方法を決めていきましょう。

事業継続は、常に変化する社会事象や事業内容に応じて、組織全体の対応力を向上させていく取り組みです。

経営判断に関わるものも多いため、BCMの基本方針には経営層が責任をもって行うことを明示した運用体制を盛り込んでおくことがポイントとなります。

 

BCMに基づきBCPを策定

BCMで定めた事業継続の基本方針と運用方針に基づき、以下のような流れでBCPを策定します。

 

【業務影響度分析】

まず、事業を脅かすリスクとしてどのようなものが考えられるかを理解します。業務影響度分析(BIA: Business Impact Analysis)により、業務が中断した際に影響を及ぼす範囲や大きさを整理します。

 

【被害想定】

次に、大規模地震や風水害、事故など災害別に、人・モノ・情報システムなどのリソース(資源)に対し、どのような被害が生じるかを具体的に洗い出す被害想定を実施します。

 

【重要事業の選定、目標復旧時間、必要な資源の特定】

想定した被害によって事業が中断したときのリスクを分析し、重要な事業を維持するために優先して実施する業務と、目標とする復旧時間、優先する業務を実行するために必要な資源などの要素を特定します。

 

【事前対策の策定】

優先する業務を中断させないための対策を決定します。インフラ、拠点、人的資源、物的資源、情報連絡系統、資金確保など、被害想定を参考にしながら、平常時に講じるべき手当てを決定します。

 

【緊急事態時の体制】

責任者、権限移譲と代行順位、機能と役割など、BCPが発動する非常事態になった際の対応体制を定めます。

 

【緊急事態発生時の行動手順】

BCP発動、初動マニュアル、復旧マニュアルなど、非常事態が発生した際の具体的な行動手順をまとめます。

BCMの実施例

ここからは、運用方針の周知と徹底の重要性について、BCMを行っていた場合といない場合との違いを、実際の事例により紹介しましょう。

いずれも東日本大震災の津波対応を行った結果、死者を出したために訴訟になった案件ですが、判決には大きな違いが出ました。

 

BCMを実施していないケース

【幼稚園の送迎バス訴訟】

園児5名を載せた送迎バスが津波に巻き込まれ犠牲になり、遺族が損害賠償を求めた裁判です。

幼稚園は防災マニュアルを作成していたにもかかわらず、周知徹底や訓練の実施による職員の防災意識の向上や、マニュアルの整備・充実といった計画の運用体制が不十分であったことを指摘され、和解金計6000万円を支払うなどして和解しました。

 

【自動車教習所津波訴訟】

自動車学校の教習生25名とアルバイト従業員が津波で犠牲になり、遺族が損害賠償を求めた裁判です。

災害発生後の情報収集や被害の予見、適切な判断と行動がとれるよう、従業員の教育を行っていなかったことから避難が遅れるなど、教習所側の従業委員に対する責任を認め、計約19億1千万円の賠償を命じる判決が下されました。

 

BCMを実施しているケース

【銀行の津波訴訟】

津波が発生した際に、マニュアル通りに銀行支店の屋上に避難したものの、想定を上回る高さの津波に流されて死亡した従業員の遺族が損害賠償を請求した裁判です。

銀行では平時から津波を想定した災害対応計画を策定し、周知や安全教育、避難訓練などを行っていました。

このため、安全配慮義務違反はないとして地裁が遺族の請求を棄却、高裁も支持し、最高裁も上告を退ける決定を行ったため、遺族側の敗訴となりました。

BCM・BCPの違いまとめ

BCMは、組織にとって最も重要な事業継続を実現可能なものとするため、重要な運用方針を定めたもの。

BCPは、BCMの方針に従い、具体的な事業継続の対策を事前・事後の観点から整理した計画です。 

これらはいずれも、企業が非常時に生き残るために必要不可欠な計画です。実行性の高い計画を策定し、強い企業を目指しましょう。

なお緊急時における事業継続対策には、安否確認システムが不可欠です。

 

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運営会社 株式会社アドテクニカ

「世界中のコミュニケーションをクラウドで最適に」することをミッションとして掲げ、2000社以上の法人向けのデジタルコミュニケーションとデジタルマーケティング領域のクラウドサービスの開発提供を行う防災先進県静岡の企業。1977年創業後、インターネット黎明期の1998年にドメイン取得し中堅大手企業向けにインターネットビジネスを拡大。”人と人とのコミュニケーションをデザインする”ためのテクノロジーを通じて、安心安全で快適な『心地良い』ソリューションを提供している。

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