アドテクニカ・BCPニュースレター 【南海トラフ地震の静岡県新被害想定を考える】
2025/06/13.

令和7年3月31日に内閣府より南海トラフ地震の新被害想定が発表されました。
その中の静岡県に関する内容を見て、私は驚愕しました。
今回はその内容についてお話しましょう。
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「南海トラフ地震の新被害想定」とは何か

「新被害想定」ということは、それ以前に「被害想定」があったことになりますが、それは平成25年に公表された「静岡県第4次地震被害想定調査(第一次報告・第二次報告)」を指します。
前回の調査から10年の期間が過ぎました。この10年間で被害想定がどのくらい改善されたかを比較することで、その進捗状況が明らかになります。それが今回公表された報告書です。
公表された地震モデル報告書は43ページですが、同日に公表された「南海トラフ巨大地震最大クラス地震における被害想定について【定量的な被害量(都府県別の被害)】」は430ページにもおよび、そこに静岡県の被害想定が記載されています。
新被害想定の概要

まずは全体の状況から説明しましょう。10年前に発表された全国の南海トラフ地震の被害想定では、死者32万3千人、建物全壊・焼失棟数238万6千棟でした。この被害を10年間で、死者は8割減、建物全壊・焼失棟数は5割減という目標を掲げ、その対策に取り組んできました。
しかし、今回の新たな被害想定では、死者29万8千人で8%減、建物全壊・焼失棟数は235万棟で2%減という結果でした。目標には遠く及ばない結果となっていたのです。
同様の項目を静岡県で見ると、死者は10万9千人から10万3千人と5.5%減少、建物全壊・焼失棟数は23万9千棟から34万6千棟へと約45%増加しており、いずれも全国の改善率よりさらに低い水準となっています。
目標未達の原因は?

その理由は何でしょうか? 皆さんはどうお考えになりますか?
今から50年近く前に「東海地震説」が発表され、静岡県では全国に先駆けて様々な地震対策を実施し、「防災先進県」と言われてきました。しかし、各地で大きな地震が起こるたびに「次は静岡」と言われ続けながらも、大きな地震が静岡では発生しなかったため、「オオカミ少年効果」という社会的なバイアス(偏見)にかかってしまっていると、私は考えています。
この報告書から言えることは、早くこのバイアスから抜け出し、南海トラフ地震対策を「自分事」として捉え、有効な対策の第一歩を踏み出していただきたい、ということです。
2024年1月1日の能登半島地震にも、多くの教訓が見いだされます。
AIに「南海トラフ地震に備えて、能登半島地震の教訓を踏まえた対策を教えてください」と尋ねてみてください。きっと、適切な対策を教えてくれるはずです。
<<筆者のご紹介>>
合同会社IST経営コンサルティング 代表社員 石井 洋之 静岡県BCPコンサルティング協同組合 理事 |
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「世界中のコミュニケーションをクラウドで最適に」することをミッションとして掲げ、2000社以上の法人向けのデジタルコミュニケーションとデジタルマーケティング領域のクラウドサービスの開発提供を行う防災先進県静岡の企業。1977年創業後、インターネット黎明期の1998年にドメイン取得し中堅大手企業向けにインターネットビジネスを拡大。”人と人とのコミュニケーションをデザインする”ためのテクノロジーを通じて、安心安全で快適な『心地良い』ソリューションを提供している。
- 事業内容
- デジタルマーケティング支援
デジタルコミュニケーションプラットフォーム開発提供 - 認定資格
- ISMS ISO/IEC27001 JISQ27001認定事業者(認定番号IA165279)
プライバシーマーク JISQ15001取得事業者(登録番号10824463(02))
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